2023年5月26日、破産者マップの第12回目の口頭弁論があった。
原告は、前回の口頭弁論以降、政治団体オープンサイエンスと個人情報保護委員会の裁判の記録の提示申出を東京地方裁判所に行っていたが、記録はすでに東京高等裁判所に送られており、東京地方裁判所になかったので、記録提示の申出を取り下げ、新たに「文書送付嘱託申立」を東京地方裁判所に行った。その申立の結果、第11回目の口頭弁論当日に記録の謄写物を受け取ったとのことだ。
被告は、前回の口頭弁論以降、次回期日での結審を求める「上申書」を東京地方裁判所に提出した。
ここまでが前回の口頭弁論以降の流れ。
破産者マップ裁判は、望月宣武弁護士がインターネットを通じ408人から181万円を集めてしまった手前、何かを行ったかのような外形を作り出さないといけないため起こした裁判のように思う。望月宣武弁護士は、181万を集めた段階で、すでに「カネを集める」という彼の目的は達成している。望月宣武弁護士は、集めたお金のうち、裁判に経費がいくらかかっているのか、連盟している6人の弁護士にそれぞれいくら支払っているのか、全く情報を開示しておらず、募金者にも説明を行っていない。使っている費用について、望月宣武弁護士に尋ねた募金者もいるようだが、望月宣武弁護士は、質問に全く答えていないようだ。
破産者マップ裁判にかかっている原告の実費は、訴状の郵送費を含めても1万円程度。破産者マップ裁判に1万円しか実費がかかっていないことについて、望月宣武弁護士は、募金者に本当のことをいうわけにはいかないのだろう。最終的に181万円の経費がかかっているよう募金者に見せたいためか、毎回、次回の期日の日程を決めるための、時間にすれば、わずか数分程度の儀式(口頭弁論)に3~4人の弁護士が原告席に並ぶ。原告席に毎回、3~4人の弁護士が並ぶのは、出廷料や交通費名目の「お小遣い」として1人あたり3万円程度、毎回10万円程度を消費した形にできるからだろう。12回目の口頭弁論だと120万程度使った形になる。破産者マップの裁判は今月で第12回目であるが、破産者マップに関する議論は、これまで法廷では1回もない。
次回の日程を決める際、裁判長が原告と被告のそれぞれの予定を尋ねる。法定では望月宣武弁護士以外の弁護士は一言も発言したことがなく、望月宣武弁護士以外の弁護士は、法廷にいる意味もなく、法廷にいる価値もない。それにもかかわらず、来る価値のない原告弁護士に限って「その日、空いていない」と首を横に振り、裁判所や被告の予定の再調整を余儀なくさせる。
法廷で議論をしないのであれば、その場に行く必要性はない。法的には口頭弁論期日に出廷することで、準備書面を提出したと扱うが、これは法制度の問題、仕組みの問題である。毎回「準備書面提出しますか? はい」「次回期日、この日はあいてますか? はい」これだけのために毎回、裁判所にいくのは、何ら価値が生み出されておらず、時間の無駄である。裁判所にわざわざいかなくてもよいよう、電話やインターネットで口頭弁論に参加できるよう法制度を変えればよい。議論をしないのであれば、原告と被告が同じ時間に法廷にいるよう調整する必要はない。裁判所のサイトに、原告と被告がそれぞれ書面をアップロードし、その書面を裁判官がみて、判決を下せば良いように思う。
破産者マップ裁判には、傍聴人がくる。原告や被告の準備書面は、法廷で配られることもなく、また傍聴人に提示されることもないから、法廷で行われる原告、被告、裁判官とのやりとりを通じ、断片的な話を傍聴人は聞いているに過ぎない。特に破産者マップ裁判は、法廷内では1回も議論が行われておらず「準備書面提出します」「次回期日はX月X日です」といった儀式だけが行われている状況なので、傍聴人は何も知らない、何も分からないのと同じである。準備書面は裁判所で閲覧できるので、傍聴人の中には閲覧している人もいるようだが、準備書面を閲覧し、正確に情報を発信している事例は、本当に少ない。
2023年5月26日に行われた破産者マップ第12回目の口頭弁論を傍聴した、裁判傍聴マニア(?)の人が発信した情報を見かけた。次回の口頭弁論の日付は正しいが、それ以外の情報は、聞こえてきた単語を断片的につなぎあわせ、その人なりに理解したところを書いているのであろうか、全く裁判の状況を正しく伝えられていない。むしろ誤っている。何回か前の口頭弁論に、その裁判傍聴マニアの方が法廷に来ていたのを見かけたが、そのときのレポートも同じで、裁判の状況を正しく伝えておらず、内容が誤っていた。間違えた情報を発信するのではなく、書面を閲覧するなり、原告や被告に取材をして事実関係を確認、資料を入手するなりすればよいのに、全く行っていない。
新聞記者もそうだが、事実関係を調査せず、相手に取材をすることなしに記事を書き、誤った情報を発信する者がいる。誤った情報を誤っていると判断できる、ある程度高いリテラシーがある読み手であればよいが、誤った情報を発信している知的レベルの低い発信者の周りには、同程度かそれ未満の知的レベルの低い読み手が集まっている。近年、日本では収入や資産の二極化、分断化が進んでいるとの記事を目にするが、日本では収入や資産にとどまらず、知的レベルの二極化、分断化が進んでいるようだ。
先日、個人情報保護法の世界で有名な弁護士が「破産者情報提供サイト」に関して講演を行っていた。その弁護士の先生の講演は、とても興味深く、いくつも勉強になるところがあった。講演のテーマが「破産者情報提供サイト」だったので、その先生は、現在進行形である、政治団体オープンサイエンスが個人情報保護委員会を相手に提起した裁判について触れた。その先生は、裁判の中で、原告や被告が何を争点に争っているのか、裁判所がその争点に対し、どのような判断を下したのか、具体的な話が何1つできていなかった。私は、この先生が裁判について何もわからないまま壇上に立ち、裁判資料をみないまま、講演しているのだと感じた。
その先生は、個人情報保護法の世界で著名な弁護士であり、国立大学の教授として学生に講義を行っている。しなしながら、その先生は、講演テーマについて、基本的な事実関係を調査せず聴衆の前で話をしており、哀れみの情を感じざるを得なかった。その他の「破産者情報提供サイト」についても同様で、その先生は「破産者情報提供サイト」について、あまりよくわからないまま話をされていた。
講演が終わり、その先生が会場から質問を受けるという。私は、その講演で話題にでていた政治団体オープンサイエンスの代表者だと名乗り、政治団体オープンサイエンスが個人情報保護委員会を相手に提起した裁判の判決文を送ることを、その先生に申し出た。その講演後、判決文をその先生に送った。その先生からは丁重なお礼を頂いた。今後、その先生が「破産者情報提供サイト」や、政治団体オープンサイエンスが個人情報保護委員会を相手に提起した裁判について触れるときは、ぜひ、私が送った判決文を踏まえ、言論を行って欲しいと思う。
破産者マップの裁判は、あと口頭弁論が2回開かれ、結審する見込みだ。次回期日での結審を求める被告の「上申書」を踏まえ、次回7月の期日で、原告が入手した個人情報保護委員会と政治団体オープンサイエンスの裁判の判決文を踏まえた主張があり、次々回、おそらく8月~9月頃に予定されるであろう原告に対する被告の主張を終え、結審すると予想している。9月までに結審するのであれば、2023年内に判決が言い渡される可能性があり、遅くとも2024年の早い時期に一審の判決が下されるだろう。