「個人情報保護委員会VS政治団体オープンサイエンス」その5 国の意見書が29日にだされる予定

投稿者: | 2022年3月28日

2022年3月23日(水)に、政治団体オープンサイエンスは、個人情報保護委員会から、1週間後の30日(水)までに、破産者情報通知のサービス停止をするよう命じられました。命令から2日後の25日(金)、政治団体オープンサイエンスは、命令の効力停止を求め、東京地方裁判所に仮処分を申立てました。

25日(金)の夕方に仮処分の申し立てを行ったので、国に申立書が送達されるのは、週明けの月曜日になり、そうなると30日までの停止命令までの間に、国が意見書を書き、裁判所が「決定」を行うには、あまりにも時間がなく、30日までに何らかの「決定」をもらうには無理かもしれない。そう思っていたところ、裁判所が法務省に対し、29日までに「意見書」を出すよう命じていることが本日わかりました。どうやら、仮処分の申立書が25日(金)中に、法務省側に手渡されたようです。

行政事件訴訟法第23条2項の規定により、裁判所は決定を行う前に、国の意見をきかなければなりません。国の意見書が裁判所に提出されなければ、裁判所は「決定」を行うことができないことになっているので、29日までに国の意見書がでれば、30日までに、裁判所から何らかの決定がでる可能性があります。関係者の皆様に本当に感謝です。

今回、裁判を担当されるのは、春名茂裁判官、横井靖世裁判官、下道良太裁判官の3名になるそうです。春名茂裁判官の過去の判決の情報を120件弱入手できたので、集計したところ、申し出た側の主張が「認容」される割合は8%でした。行政事件訴訟では国側が勝つ割合が9割といわれてますので、集計結果の割合と、同じぐらいです。仮処分が認められる期待値は10%未満ですが「命令」文書には書かれていない「命令」の具体的な理由、「命令」の正当性、政治団体オープンサイエンスの「主張」に対する「反論」を「意見」するでしょうから、判決の結果がどうであれ、「国の意見書」を受け取ることを、非常に楽しみにしています。

僕が注目している点は2つ。1つ目は、政治団体オープンサイエンスに対し個人情報保護法第76条第1項第5号の規定する政治団体の適用除外がされない理由、2つ目は、破産者情報は官報で公告され、国民一般に広く周知されている情報にもかかわらず「破産者情報通知サービス」により多数の破産者が人格的・財産的な差別取り扱いを受ける恐れがあり、本人の重大な権利利益の侵害が切迫していると、個人情報保護委員会が主張する理由や根拠(国が官報やインターネット版官報を通じて、国民に破産者情報を十分に周知しているのであれば、小さな政治団体が行っている破産者情報を提供するサービスで、破産者本人の重大な権利利益の侵害が切迫することなんてあり得ません。仮に国側がいうように、小さな政治団体が行っているサービスで、破産者本人の重大な権利利益の侵害が切迫するようであれば、それは、官報の情報が国民に十分に周知されていないことを国側が自認することになるのではと思います)。

個人情報保護委員会は、政治団体オープンサイエンスに対し、23日に命令を発し、30日までに命令に従うよう求めました。命令を受けた政治団体オープンサイエンスは2日で仮処分と本案訴訟の書類を準備し裁判所に提出しましたが、この2日間はとてもハードでした。個人情報保護委員会の職員の皆様、特に監視監督室の職員の皆様、東京地裁の担当者様、東京法務局訟務部の担当者の方は、私以上に時間がないと思いますので、今、とてもハードだと思います。命令を発する方も、命令を受ける方も、共に人間ですから健康的な時間を過ごしたいものです。

「個人情報保護委員会VS政治団体オープンサイエンス」その5 国の意見書が29日にだされる予定」への1件のフィードバック

  1. 匿名

    国が公表した情報をマップにピン留めしただけですよ?
    何のどの法律に触れますか?
    ってシンプルな返しをすれば、裁判官も太刀打ちできないだろうな〜
    最高裁まで行っても多分かなりグレーな判決で閉鎖の命令が出ると思うわ。
    公共の〜公益の〜個人の〜とかっていうお経みたいな判決文ね。

    返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です