新破産者マップ2

投稿者: | 2022年6月23日

今日は「新・破産者マップ」の個人情報保護委員会の今後の対応について、予想される展開を書きたいと思う。

「新・破産者マップ」の「このサイトについて」には「このウェブサイトの運営は海外で行われており、現地の法律が適用されます」と書いている。

「新・破産者マップ」を、海外でサイトを運営しているので、個人情報保護法が適応されないと運営者は考えているかもしれないが、それは誤りである。「新・破産者マップ」には、日本の個人情報保護法は適応され、およそ半年~1年ほどで「サイト停止命令」が出るだろう。

「新・破産者マップ」に個人情報保護法が適応されるロジックは明快だ。このサイトは、国内にいる破産者に対し、グーグルマップ上のピンを6万円ないし12万円で削除するサービス(役務)を提供している。すなわち、個人情報保護法第166条「この法律は、個人情報取扱事業者が、国内にある者に対する物品又は役務の提供に関連して、国内にある者を本人とする個人情報を、外国において取り扱う場合についても、適用する」が「新・破産者マップ」に適応される。

破産者が「新・破産者マップ」の運営者に、自らの住所や氏名の使用を同意するとは思えず、また、サイト運営者が、延べ数百万人の破産者の同意をとることは実務的に困難であるので、「新・破産者マップ」は、破産者本人の同意を得ず、個人データを第三者提供することになる。この状況は、個人情報保護法第27条に違反することになる。

「新・破産者マップ」の運営者は、明らかになっていない。仮に「新・破産者マップ」の運営者が、個人情報保護法第27条の規定に従いオプトアウトの届出を行えば、2022年4月までは適法に「破産者本人の同意を得ずに」サイト運営ができた。しかし、2022年4月からは、「2019年に話題になった破産者マップ」の対策として、個人情報保護法第19条「個人情報取扱事業者は、違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがある方法により個人情報を利用してはならない」が、新設・施行されたため、仮に「新・破産者マップ」の運営者が、オプトアウトの届出を個人情報保護委員会に行ったとしても、個人情報保護委員会は「新・破産者マップ」の運営者が出したオプトアウトの届出を取り消した上で、同条に基づいて、「新・破産者マップ」サイトに対し、サイトを停止するよう行政指導(勧告)を行い、従わなければ「サイト停止命令」を出すことになるだろう。

「新・破産者マップ」には、運営者情報が書いていない。運営者の住所や居所が不明である。この場合でも、個人情報保護法第160条の「公示送達」の規定を使い、個人情報保護委員会は行政指導と行政命令の手続きを進めるだろう。

個人情報保護法160条は、2022年3月までの個人情報保護法には存在していなかった条文だが、新たに追加され、2022年4月から施行された。2020年7月に個人情報保護委員会がサイト停止命令を出した「モンスターマップ」という「破産者情報提供サイト」があったのだが、そのサイトの運営者の連絡先が不明で、個人情報保護法ではサイト運営者に対応できなかったことを踏まえてできた条文だ。

公示送達の効力は、掲示を始めた日から、国内であれば2週間、外国であれば6週間で効力を生じる。「新・破産者マップ」の運営者が「海外で運用している」と主張しているので、その期間は「海外の6週間」であると考える人もいるかもしれないが、個人情報保護委員会は「国内の2週間」を適応するだろう。

それは、モンスターマップの事例があるからである。モンスターマップはスイスで運用していると主張していた。実際、モンスターマップは、海外でサイトが運用されていたが、当時、個人情報保護委員会は、国内でサイトが運用されているものとして取り扱い、掲示から「2週間」で公示送達の効力を生じさせ、サイト運営者に対し、勧告や命令を行っていた。なぜ個人情報保護委員会が、海外で運用されているサイトを、国内で運用されているものとして取り扱っていたのか。どのメディアの記者も、個人情報保護委員会に質問をしてもいないし、記事として発表もしていないので理由は不明である。

「新・破産者マップ」は、個人情報保護法に違反している。プロバイダーの対応や、サイト運営者の考え方で、サイト運営の期間は変わるだろうが、過去の例をみると、およそ半年~1年で、個人情報保護委員会は「新・破産者マップ」に対し、「勧告」「サイト停止命令」を行うだろう。

今日はここまで

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