破産者情報通知サービス命令取消請求を棄却「高裁」認めず

投稿者: | 2023年11月19日

(2023年11月19日:報道)

 官報に公告されている破産者情報を提供するサイト「破産者情報通知サービス」に対する個人情報保護委員会の停止命令をめぐり、サイトを運営する政治団体オープンサイエンス(神奈川県伊勢原市)が国を相手取り、命令の取消を求めた訴訟の判決が30日、東京高裁であった。

 木納敏和裁判長は「サイトが、破産者等の破産手続き等に係る個人情報が無料かつ会員登録等の手続きをせずに閲覧することができるサービスを提供するものであることを考慮したとしても、利用者が閲覧を希望することを前提としてサービスを提供することに変わりなく、個別の情報伝達の機能に特化したものであり、不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせるものに該当するとはいえず、「報道」に該当するとの原告の主張を採用することはできない」として、原告側の請求を棄却した。

 原告の政治団体オープンサイエンスは「データベース検索」「メール通知サービス」等、個別の情報伝達に特化した形式のみで、破産者等の破産手続き等に係る情報の提供を行っていたのではなく、裁判所によって決定され官報に公告された、破産、再生、免責等、社会の出来事としての客観的事実を不特定多数の第三者、国民に、広く知らせているのであるから「破産者情報通知サービス」は、個人情報保護法第76条第2項が定める「報道」に該当し、個人情報保護委員会が行ったサイト停止命令は取り消されるべきだと主張していた。

 政治団体オープンサイエンスの代表者は「破産者情報をインターネット上で不特定かつ多数の者に対して広めていたにもかかわらず、サイトの利用者が閲覧を希望することを前提としたサービス提供であり、個別の情報伝達の機能に特化しており、不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせる「報道」にあたらないと裁判所に認定された。主張が認められず残念だ。最高裁判所に上告を行った」とのコメントを発表した。

破産者情報通知サービス命令取消請求を棄却「高裁」認めず」への2件のフィードバック

  1. 匿名希望

    「不特定かつ多数の者」について、異常な判決ですね。
    「わいせつ物頒布等罪」などでは、もっと簡単に「不特定かつ多数の者」を認めています。
    https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=82565
    https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89995 P8
    「不特定多数の者が知りうる状態に置く」と「不特定多数の者に対して客観的事実を事実として知らせる」の違いを論じるのかもしれませんが、個人情報保護法は「報道の用に供する目的」となっていて、「目的」が何であるかを問題とするのであって、「目的」が報道であれば、実際に見た人が「多数」でなくても個人情報保護法の適用外となるものです。
    もっとも、「破産者情報通知サービス」を使って実際に破産者の情報を見た人の「数」を示せば、裁判所も「不特定かつ多数」と認めざるを得ないように思えます。

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  2. 匿名

    衆議院の質問主意書に、やり取りがありますね。
    (質問)
    https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b151067.htm
    (政府答弁)
    https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b151067.htm
    「四について
     過去に報道した記事をデータベースとして提供する行為や、新聞、雑誌又は書籍の発行前にインターネット等を利用して速報する行為が、報道に該当する場合は、当該行為を行うに当たっての個人情報の取扱いは報道の用に供する目的で行われる個人情報の取扱いに該当し、報道機関が行う当該行為については、法案第五十五条第一項により法案第五章の規定は適用されない。」

    「過去に報道した記事をデータベースとして提供する行為」が報道に該当する場合があると答弁しています。

    返信

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