「破産者マップ裁判」には、2人の原告がいる。石川県金沢市の原告A(女性)と、東京都荒川区の原告B(男性)である。
前回、原告Bについて触れたので、今日は、原告Aについて触れたい。
「破産者マップを見たことがない」と言い出す興味深い原告Bに劣らず、原告Aもまた興味深い原告だ。原告Aは、平成29年10月に、免責を受けた事実が官報に掲載されている。官報に掲載されている原告Aの住所を「石川県金沢市A」としよう。平成31年3月頃、破産者マップが話題になった。後に、原告Aは裁判所に提出した陳述書の中でこう述べている。
私が破産したことは、限られた範囲の人しかみることができなかったのに、不特定多数の人に見られていると思うと、怖くなって、外出することができなくなりました。いまだに外出しても人の目が怖くて、人から私は破産した人であると後ろ指をさされているような感じがして恐怖を感じています。
破産者マップの開設者によって、私の名誉やプライバシーは侵害され、人の目を気にして外出もできないような屈辱を味わったのです。
出典:原告A「陳述書」
その後Aは、同じ石川県金沢市の別な住所に転居した。転居先の住所を「石川県金沢市B」としよう。「怖くなって外出することができなくなった」にもかかわらず、どのようにして外出せずに引っ越すことができたのか、原告Aの陳述書からは詳細が分からないのだが、原告Aよれば、破産者マップに掲載されたため「石川県金沢市A」の住所で「人の目が怖い」「恐怖を感じている」「屈辱を味わった」と主張している。
破産者マップに掲載されて、近所の目もあり、引っ越しましたという原告Aの話は、話の流れとしては、自然であり、了解可能だ。これを読んでいる多くの人が、原告Aの引っ越しの経緯について、理解可能であると思う。
ここからが、この原告Aの興味深いところだ。これを読んでいる方々には「原告A」になったつもりで考えて欲しい。他人の目が気になる「住所A」から、他人の目を気にしなくてよい「住所B」に引っ越し、その「住所B」から引っ越すとすれば、次はどこに引っ越すだろうか? 「住所A」や「住所B」とは異なる、新たな「住所C」に引っ越すだろう。
ところが、原告Aは「住所B」から、再び「住所A」に戻ったのである。「人の目が怖い」「恐怖を感じている」「屈辱を味わった」と主張している「住所A」に再度、原告Aは引っ越したのだ。そして「破産者マップ」裁判を起こした。
原告Aが破産者マップに掲載され、「人の目が怖い」「恐怖を感じている」「屈辱を味わった」のが事実であれば、引っ越し後、また「住所A」に戻ろうとは思わないはずだ。「破産者マップ」を見たことがないことを認め、何の損害があったのか未だに不明な原告Bも興味深いが、原告Aの女性もまた興味深い原告だ。ちなみに、この原告Aの女性は「北陸電力志賀1号炉の原発運転再開を許さない」とシュプレヒコールをあげている反原発活動家でもある。反原発活動をしているバリバリの活動家に「破産したことを他人に知られたかもしれないので、人の目が怖くなりました」といわれても「反原発活動をするほうが、他人の視線が刺さりそうな気がするけど?」と尋ねたくなるが、それは、その女性活動家と私との感性の違いなのかもしれない。
今日はここまで
日本は世界一 破産が簡単に出来ると言う不名誉な面もある。誰が破産者か分からないと経済活動が正しく成り立たない。新規取引先がどういう財産状態か信用調査が出来ない。だから一定の範囲での破産者の公表はやむを得ない と思います。
官報の掲載については同意をしないと破産できないので破産者からは官報に掲載する同意はなされています
ですので官報掲載は個人情報保護法に違反していない
破産情報みるとカスがこんなにもいるのかと驚く